働くことと生きることの狭間で

仕事はじめから早3日。
今週いっぱいは、身体と思考の調整期間ということで、メンバーには作業よりも自分のリズム作りを優先するよう伝えています。
たぬき工房では、作業工賃がつく作業とつかない作業の2種類を各自が選べるシステムを採用しており、この調整期間はメンバー各自が客観的に自分の状態を把握するよい機会になります。

~日当たりの良い東屋に横たわり、青空を眺める~
~薪ストーブ近くのソファに身体を預け、読書にふける~
~台所にたち、全員の無病息災を願いながら七草がゆをつくる~

これらのほとんどは工賃がつかない作業ですが、プライスレスの自己投資。
メンバーの数だけ仕事はじめがあるのが、たぬき工房の特徴です。

そして迎えた今年初めての体力増進プログラムは、ノルディックウォークで初詣です。
吉澤先生から、今日はいつもより早いペースで歩くというミッションが発令され、歩幅を大きく取ることを意識して歩きました。自然と姿勢が良くなり視線も上向きに。空は快晴です。

 

メンバーがひこうき雲を発見しました。つられて更に上を向いて歩いたら、この一年も明るくなるような?気がしました。道中は吉澤先生の楽しいクイズに頭も使い、おしゃべりに顔の筋肉も使い、全身程よく動かして外から戻ると、もはや本業が何かわからなくなってきたジビエ担当スタッフと男性メンバー3名による、猪肉のリブ入り野菜スープがお待ちかね。

 

「もうちょっと塩こしょうが欲しいかな」
「ケチャップも入れてみたらどうなる?」
味に深みが増すたびに、キッチンに太い声の歓声が響きます。
さまざまな協議の末、リブの旨味とセロリ・七草の葉物、粉チーズとあらびき黒コショウのアクセントが効いたスープになりました。

「働く」ということと「生きる」ということの挟間を丁寧になぞり、隙間を埋めていく作業に対価を求めず、自分を上手に乗りこなすことがどれほど難しいことか…
薬の副作用で、手や身体の動きが思うようにいかないとき
鉛が貼りつくような思考の重さを感じるとき
考えがまとまらず、何かを変えなければと焦るときほど、自分を乗りこなせていないものです。
仕事はじめを上手に過ごし、今年1年のスタートをきったメンバーたちのこれからにご期待ください。