たぬき工房的リハビリテーション「流しそうめん編」
夏季休業を終え、迎えた作業初日は、毎年恒例の流しそうめんを行いました。
「流しそうめんが作業??」と疑問に思われる方も多数いらっしゃることと思いますが、たぬき工房ではこのようなイベントの運営や準備も、重要なリハビリテーションと考えています。リハビリテーションと聞いてまず浮かぶのは、身体機能や能力の回復・強化ですが、実はリハビリテーションにはそれぞれの分野に応じた役割があります。その代表的なものとして、
医学的リハビリテーション
職業的リハビリテーション
教育的リハビリテーション
社会的リハビリテーション
が、挙げられます。
たぬき工房では、いろいろな要素を取り入れたプログラムで目の前の場面を利用し、自分の強みや課題を発見していくことが回復への道筋になると考えています。流しそうめんでさえ、たぬきスタッフの手に掛かればリハビリプログラムに早変わり。
会場設営 (施設長 前田)
今夏は自身で企画したイベント含め、既に4回目の流しそうめんということもあり、余裕の表情。
自宅の庭に生えた竹を持ち込み、メンバーと水路の長さや傾斜、水圧などを協議しながら進めます。
2名のメンバーが担当しました。
材料準備 (佐々木/石井)
担当するメンバーと、分担や盛り付けなどの段取りを組みます。今回の具材は、スタッフであっても買い物袋を開けるまで知らされないため、何が出てきても冷静に対応するスキルが発揮されます。
担当するメンバーも、何が出てきても動じずに切る、茹でる、洗う、くり抜く作業を流れるように進めます。
こちらも2名のメンバーが担当しました。
買い出し&撮影 (小黒)
当日の気温、人数、冷蔵庫の在庫を考慮し、材料の買い出しを行います。
数量限定企画として「pino(アイス)」を流したものの、流れながら溶けて現場を混乱させた過去を持つため、今年も材料選びは真剣です。
今年は、あご(トビウオ)のだしつゆと、準備の段階でかなり懸念されていたバナナが好評でした。
このような一過性のイベントは、時間に追われたり、不意のハプニングが起きたり、作業の流れが変わるなど、精神疾患の方にとっては苦行でしかない印象を持つかもしれませんが、普段、経験できないことや習慣化されていないことでも、目の前にあることに集中して不安や焦りを軽減できるようになること。これこそがリハビリテーションなのです。
スタッフは、疾患の傾向と対処に合わせたプログラムを提供し、経験を積み重ねて症状を軽減させていく役割を担っているのです。
ほぼ毎年行う流しそうめんですが、自宅では台所に立たないメンバーが包丁を握り、昨年までは箸が伸びなかったメンバーが堂々と構え、ベテランメンバーは意図的に下流で待機するなど、それぞれのリハビリの経過を見られる貴重なイベントです。
動けなくなるまで食べたあとは、5名のメンバーが片付けと洗い物を担当し、今年も滞りなく終えることができました。
今後も、さまざまな場面でのリハビリテーションが盛りだくさんです。
さぁ、メンバーの皆さん。月末は「スープor1品ウィーク(ごはん付き)」ですよーーーーー